皆さんは刑務所の栄養士と言われるとどのような仕事や環境をイメージするでしょうか?
栄養士として働く場所は栄養バランスに配慮した食事を提供する場所であれ様々です。
保育園、学校、病院、一般企業、自衛隊などありますが、ここでは世間ではあまり知られていない刑務所の栄養士について具体的にお話しします。
刑務所の栄養士とは
刑務所の栄養士というとあまり耳にする事がないと思われます。
もしかしたらこのページにたどり着いたのもネットに出回っていないからかもしれませんね。
刑務所の栄養士は矯正施設栄養士とも呼ばれています。
食事を提供する相手はもちろん受刑者で、献立作成を主に行っています。
大量調理を行う給食施設のため、刑務所のような収容施設では1日1000食以上または収容人数334人を超える場合、管理栄養士資格の保有者でないと務まりません。
しかしそれ以下であれば栄養士資格のみでも勤務は可能です。
刑務所の栄養士は公務員であることが多いようですが、給食業務を委託されているところもあり、委託業者としての栄養士としての雇用もあります。
刑務所の栄養士は男性?女性?
刑務所なのであまり女性が働くようなイメージはないかもしれませんが、栄養士は男女別とされていることはありません。刑務官は男性が多いですが、中には女性刑務官もいます。栄養士業務のやり取りは基本的に刑務官を通して行います。
担当の刑務官とともに食材の予算やこんだてなどの話し合いをし業務を進めていきます。
調理の現場についても担当の刑務官がおり、その刑務官が受刑者に指示を出し、受刑者が調理を行うため直接関わることはありません。
刑務所の栄養士の仕事内容
刑務所の栄養士の仕事内容は主に献立作成、衛生管理、栄養管理です。
大量調理施設と似ていますが、少し違う点として、基本的に栄養士が調理をする事がありません。
刑務所の場合は受刑者が調理を行いますが、矯正施設の中には委託しているところもあります。
委託施設の場合は受刑者ではなく委託会社の調理員が調理を行いますが、栄養士も調理に入る事があります。調理が苦手だなという栄養士には向いているかもしれませんが、刑務所の栄養士はその分事務作業が非常に多い仕事です。
また、栄養士の人数が少ないため他府県の矯正施設栄養士との情報交換や勉強会・研修会があるため、栄養士の情報交換やスキルの向上が出来ます。
業務上で大変なこと
業務上で大変なことは、刑務官との連携・意思疎通を図る事です。
何故かというと、栄養士業務は全て刑務官を通しての作業となるため現場の様子がわかりにくいからです。その為、内部のことを理解出来るよう刑務官との連携が非常に大切になります。
一般的な栄養士施設は自身で現場にも参加する為、内部の状況が分かりますが、刑務所の場合は分からないケースがほとんどです。
なので、唯一情報を得られる刑務官との連携・コミュニケーション能力が必須となってきます。
栄養指導や衛生管理の指示出しは刑務官と書面でやり取りすることが多いです。書類で支持報告が出来るよう文章作成能力も必要ですね。
付け加えて大変なことを上げるとすれば、栄養士としての意見を求められていても、結果として刑務官の意見が優先される事もあるようです。
受刑者の食や栄養を考えて出した答えだとしても、それが通じない場合があるというのは栄養士として歯がゆいですね。
刑務所の栄養士、調理師の委託化
先に刑務所は受刑者が調理をする、と挙げていましたが、昨今では刑務所の調理委託するところが増えて来ています。
その要因の一つとして、刑務所での高齢化が進み、受刑者のみで調理を回す事ができなくなっている所があります。
献立についても栄養面や食事形態での考慮が必要となってくるため栄養士が必要性が高まってきているのが現状です。
また刑務所の栄養士は公務員というイメージがあっても、委託会社に雇用され委託側の栄養士、調理師として勤務する場所も増えてきています。
刑務所の栄養士というと、どこか怖く不安なイメージが強いかと思いますが、受刑者と直接かかわることはないので安心です。
刑務所特有の事務作業や刑務官とのコミュニケーションが必要となってくる場面もありますが、栄養士会などで他府県の栄養士と交流しながら情報交換もできるため、わからない事があってもサポート体制があるので安心です。
刑務所の栄養士が気になる方はまず一歩踏み出してみるのはどうでしょうか。
栄養士くらぶ編集部
最新記事 by 栄養士くらぶ編集部 (全て見る)
- なるほど!栄養ケアステーションのサービスをご紹介! - 2020年4月23日
- これで完璧!4つの栄養ケアマネジメントのステップ - 2020年4月23日
- 介護施設での栄養士を目指している栄養士さんたちへ - 2020年2月26日
コメントを残す