現在、日本は高齢化社会となり、病院や施設などで過ごす高齢者もいますが住み慣れた自宅での療養をする方が増えてきました。
そこで要介護者として在宅で療養し、栄養ケアのサービスを受ける方のために管理栄養士として在宅療養にて伺い栄養食事指導の支援を行うことを在宅訪問管理栄養士と言います。
今後、対象の高齢者が増加し需要が拡大することが予想されており、療養者や家族とともに最後まで口から食べられる支援を行います。
ここでは具体的に在宅訪問管理栄養士について詳しくお伝えします。
目次
在宅管理栄養士とは
在宅訪問管理栄養士は「療養者が在宅での生活を安全かつ快適に継続でき、さらにQOL(クオリティオブライフ)を向上させることができる栄養食事指導(支援)の技術を備えた管理栄養士」であることの認定です。
〈出典:公益社団法人 日本栄養士会〉
在宅訪問管理栄養士が療養者の自宅で安心して生活ができるように訪問し、食事の面で具体的にサポートをしたり栄養状態を評価する仕事です。
同居している家族などが療養者に対して悩んでいる食事や栄養の悩み、心配事の相談対応や生活の質が向上できるようサポートを行っていきます。
そのために医師をはじめ在宅医療に関わっている他職種と連係を取り、療養者の情報を共有しながらサポートをする体制があります。
在宅管理栄養士のなり方
勤務している病院から管理栄養士として、在宅に訪問し栄養食事指導を行うこともできますが、在宅訪問管理栄養士という公益社団法人 日本栄養士会・全国在宅訪問栄養食事指導研究会認定の制度があります。
(現・一般社団法人 日本在宅栄養管理学会)
認定されるまでの流れ
1.日本在宅栄養管理学会ホームページから申込み
日本在宅栄養管理学会
費用:会員 33,800円、非会員 42,800円
(事前学習、ファーストステップ学習・セカンドステップ学習の受講料、テキスト代、入会金1,000円、年会費8,000円含む)
2.e-ラーニングを受講
テキストとe-ラーニングによる事前学習
確認テストを受ける(全体の6割以上で合格)
e-ラーニングによる講義受講(ファーストステップ)
3.認定試験を受ける
試 験 料:10,800円
試験時間:60分
願書受付は試験日の2か月前の1日より
4.認定試験合格
5.在宅訪問栄養食事指導実施・実践症例検討報告レポートを提出
認定試験合格通知後2か月以内に提出する
6.「在宅訪問管理栄養士」認定
資格の有効期間:認定日より5年
認定料:10,800円
7.「在宅訪問管理栄養士」認定の更新
認定を受けてから更新するまでの5年間に日本栄養士会および日本在宅栄養管理学会が「在宅訪問栄養食事指導において必要な知識や技術を得るのに適している」と判断した学会・研修会などへの参加と発表などにより、20単位を取得して更新の申請をする
更新料:7,560円
出典:公益社団法人 日本栄養士会ホームページより
認定試験について合格率は6割程度です。在宅訪問栄養指導をされている人は自分自身のスキルアップのため是非とも取っておきたい認定資格ですね。
在宅訪問管理栄養士はなぜこれから増える?
なぜこれから在宅訪問管理栄養士のニーズが増えると予想されているのでしょうか?
現在の日本において高齢化社会となり、在宅訪問を必要とする高齢者が増えてきている事が起因のひとつです。
さらに近年高齢者へのサポートが整えられ自宅で長く生活できるようになってきていることも挙げられます。
またそのサポートとして住み慣れた地域で自立した暮らしができるよう「地域包括ケアシステム」という体制が2025年を目途に国が構築し推進することとなっています。
食べることは生活に欠かせないことで重要性が高く、食生活を整えるためにも在宅訪問管理栄養士のニーズが高まっているということです。
在宅訪問管理栄養士の仕事内容
自宅に住んでいる高齢者に対して訪問栄養指導を行います。
訪問栄養食事指導には「居宅療養管理指導」という介護保険適用と「在宅患者訪問栄養食事指導」という医療保険適用の2種類あります。
どちらも医師の指示に基づき、療養者の自宅へ月1~2回訪問し30分以上の栄養指導をご本人やそのご家族へ行います。
高齢者の方へ個々の食事の嗜好や食欲、栄養状態を見極めた上で、嚥下咀嚼能力が衰えている方は、食事の形態やご自宅のキッチンで調理方法を指導したり、買い物にしょっちゅう行けない方には食材の選び方を伝えたり、お料理があまりできない方にはスーパーやコンビニエンスストアで売られている冷凍食品やレトルト食品、お惣菜などの選び方などをご本人や家族に指導します。
一人一人生活環境が違うため、医師や看護師、ケアマネージャー、介護士など他職種と連携をとってご本人により良い食事をしていただけるよう指導します。
指導後は栄養ケア計画書を作成し、評価や目標の見直しなどを定期的に行なっていきます。
在宅訪問管理栄養士の活躍の場
基本的に訪問栄養指導ができる事業所は病院やクリニックといった医療機関です。
医療機関では医療保険適用の在宅患者訪問栄養指導ができます。他には介護保険適用の指定居宅療養管理指導事業所といった場所があります。
これらの事業所に勤務していること、または事業所と契約している必要があります。
日本栄養士会が運営する栄養ケア・ステーションに所属している管理栄養士やフリーランスの管理栄養士は指定事業所と契約することで訪問栄養指導を行っています。
在宅訪問管理栄養士の未来
先にも挙げたように日本は少子高齢化の状態なので、今後は在宅訪問管理栄養士は非常に重要なポジションになっていくことでしょう。
今後も長く栄養士として活躍するのであれば取得することをお勧めできる資格になります。
栄養士資格をお持ちの皆さまは是非一度検討してみてはいかがでしょうか。
栄養士くらぶ編集部
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