介護施設の栄養士の仕事とは?
内閣府の発表によると、平成29年10月1日現在、日本の高齢化率は27.7%で人口の約3割は65歳以上となっています。過疎化が進み、地方の高齢化は都市部に比べ深刻化しています。介護施設はこういった現状を背景に、年々需要が高まっています。
高齢者を支える介護施設で働く栄養士の仕事とは、一体どのようなものなのでしょうか?
目次
栄養士として働くことができる介護施設ってどのようなところがあるの?
栄養士が活躍する介護施設には、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・養護老人ホーム等、様々な種類があります。また、介護施設だけでなく、自宅で自立した生活を送る高齢者向けのお弁当宅配サービスや、食事を楽しむことのできるデイサービスなど活躍の場は広がりをみせています。
しかし、健康増進法によって定められた基準に該当する施設は、管理栄養士を置くことが義務づけられています。
就職を考える際は、確認が必要です。
介護施設での栄養士って実際にはどんな仕事をするの?
介護施設での栄養士業務は、実際に調理を行い、食材の発注・検品なども担当します。また、利用者へ食事の配膳・食事の介助を行う施設もあります。施設利用者の感想を直接聞くことで、味付けや食べやすさ等を検討し、今後のメニュー改善につなげることができます。また、生活の質向上のため咀嚼や嚥下機能の改善を目的とした、咀嚼運動教室や歯磨きなどの口腔ケアの指導を行うこともあります。
健康で自立した高齢者を支援するサービス(お弁当宅配サービス、デイサービス等)では、栄養士が主体となって献立作成を行います。料理ごとのカロリー計算や、食材選びなど献立作成に必要な業務があります。
介護施設での栄養士として大切なこととは?
介護施設を利用している高齢者は、体が思うように動かなかったり、食欲がなかったり、食べたくても食べられなかったりと、健康な人とは異なる症状を持つ人たちがいます。介護施設の栄養士として最も大切なことは、そんな利用者の状況を理解し、美味しく食べられる食事を提供する事です。
病気や誤嚥等がある場合、食事管理や献立作成を管理栄養士が行います。献立を調理し、利用者まで届けるのは栄養士の仕事です。実際に食事をする高齢者に最も適した食事を提供できているか、判断するのも栄養士の仕事の一つです。
介護施設で提供されている食事は、料理形態によっていくつかの種類に分けられます。
噛むことが難しい人には、「流動食」。噛む力が弱っている人にはゼラチン等で固めた「ムース食」や料理を細かくした「刻み食」。飲み込む力が弱っている人には片栗粉等でとろみをつけた「とろみ食」。噛むことや飲み込むことができる人には「普通食」等、利用者一人一人に合わせた食事提供がされています。
食事を口から摂取することは、高齢者が元気に過ごせる一つのポイントです。食事を口から摂ることで、胃や腸などの消化器官が活発に働きます。また、美味しい!と感じることでさらに消化が良くなり、栄養素の吸収が良くなります。そのため健康的に過ごせるといわれています。高齢者の毎日の活力を栄養士が作っているのです。
介護施設利用者から喜ばれるメニューって?
介護施設を利用する高齢者にとって、食事は何よりの楽しみです。思うように外に行けないことが多く、1年を通して室内で過ごすことの多い施設の高齢者にとって、季節や月ごとの行事は実感しにくいものです。食事を通して、季節や行事を感じてもらうことで、食事をより喜んで食べてもらうことができます。
栄養士は、お正月のおせちやクリスマスのチキン等、行事ごとに食べられている料理を提供し、施設利用者の楽しみを作ることが大切です。
介護施設での栄養士としてやりがいは?
高齢者は本当に食事を楽しみにしています。高齢者の楽しみに携われることは、何よりもやりがいに繋がります。実際には「味が薄い」や「食べにくい」等、率直な感想を聞く機会もあります。健康と高齢者の嗜好との折り合いをつけ、栄養士の知識を存分に発揮したメニュー提案や食べ方提案ができることもやりがいの一つです。
食事が高齢者の体を作っています。今日より明日が健康的で元気に過ごすことができる一日になるように、食事のプロとしての自覚を持ち、高齢者を支えていきましょう。
栄養士くらぶ編集部
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