あなたの住んでいる都道府県や市町村に、地域住民の健康を支える管理栄養士・栄養士がいることをご存知ですか?
これから進路を決めたいという方にも、ぜひ行政栄養士の存在を知っていただきたいです。
しかし、普段の生活ではあまり触れあうことの少ない職業ではないでしょうか?
今日は知らないことの多いこの行政栄養士についてまとめてみました。
目次
行政栄養士とは
行政栄養士とは、市町村の健康推進に関わる管理栄養士・栄養士の事を言います。
都道府県や市区町村・特別区などに勤務し、地域住民が病気にならないよう食の面から健康をサポートする仕事をしています。
行政栄養士の配置率100%を目指して
地域住民の健康を支える行政栄養士ですが、その数は少ないのが現状です。
日本栄養士会では、各自治体に行政栄養士の配置を要望してきました。その結果、年々行政栄養士は増え続け、平成28年の調査では全国の87.2%市町村で行政栄養士が配置されました。
国民の健康づくりの基本方針を示した「健康日本21(第二次)」では、行政栄養士の役割を期待しています。
健康日本21では肥満者の割合の減少や、野菜摂取量の増加、朝食欠食率の減少等、具体的な数値目標を掲げています。
行政栄養士は健康な地域住民に働きかけ、普段の食生活の改善をアドバイスし病気予防を推進しています。目標達成のために行政栄養士の役割は大きいと言えます。
日本栄養士会では、働きかけを続け、全国において行政栄養士の配置率100%を目指しています。
行政栄養士の仕事内容
行政栄養士は具体的にどのような仕事をしているのでしょうか?都道府県の場合、市町村の場合に分けて説明していきます。
都道府県に勤める行政栄養士
都道府県庁に勤めている管理栄養士の数は全国的に非常に少なく、主に都道府県や政令指定都市、特別区に設置されている「保健所」で勤務する場合が多いようです。ではまず、保健所の役割について簡単にご説明します。
保健所は地域住民の健康を支える、広域的、専門的かつ技術的拠点と位置づけられています。
疾病の予防、衛生の向上、栄養改善などの業務を行っています。また、市町村に設置されている保健センターへ助言・援助を行う業務も担っています。
保健所では医師が施設長を務め、管理栄養士の他に薬剤師、獣医師、保健師、理学良表紙等様々な専門家が配置されています。
保健所に勤める行政栄養士は、下記を業務指針として活動しています。
市町村に勤める行政栄養士
市町村に勤める行政栄養士は主に「保健センター」で勤務しています。前述しましたが、その数は少なく、配置率も100%には至っていません。
地域住民の健康増進に深く関わる職種の為、今後配置率を上げ、人数が増えるよう日本栄養士会は各市町村に働きかけています。
では、保健センターの役割とはなんでしょうか?保健所との違いはあるのでしょうか?
保健センターは市町村に配置され、住民に身近で利用頻度の高い保健サービスを提供しています。
健康相談、保健指導、健康診査などを行います。保健所に比べ、より住民に寄り添ったサポートを担っているのが保健センターです。
保健センターに勤める行政栄養士は、下記を業務指針として活動しています。
行政栄養士に求められるスキル
地域住民の健康増進を担い、近年ますます活躍が期待されている行政栄養士。求められるスキルはどのようなものなのでしょうか?
公衆衛生の知識
地域の人口構成、栄養状況、環境状況等公衆衛生の知識が必要です。行政栄養士は、事業計画や事業推進力をもって地域保健対策を実践しています。地域の現状を踏まえ、より効果的な事業を計画するために、公衆衛生の知識は不可欠です。
平成29年度に実際に行われた活動の事例を一つご紹介します。
北海道のある町は「おたっしゃ料理教室」と題し、60歳以上の町民を対象に調理実習を行いました。
この教室の目的は、簡単かつ健康的な料理を知る機会を提供することで、高齢者にバランスのとれた食生活を身に付けてもらうことでした。
このような取り組みが全国の行政栄養士が先頭に立って行っています。
コミュニケーションスキル
行政栄養士は保健所や保健センターに留まらず、地域の給食施設や保育園、飲食店などを回り食環境の整備を行っています。様々な職種の人に接する為、コミュニケーション能力が求められます。
またほとんどの保健所や保健センターに、管理栄養士・栄養士は1~2人しか勤務していません。
そのため、他職種の人達とのコミュニケーションをうまくとらなければ、実施したい事業がうまくいかない場合があります。
他職種の人たちとの協力は地域住民の健康推進計画に大きく影響を及ぼします。
栄養学の専門家としての意見をしっかりもちつつ、他職種の人たちの意見もうまく取り入れた事業計画を進めていく必要がありますね。
行政栄養士として働くためには
保健所や保健センターの栄養士はいわゆる公務員にあたります。そのため、自治体などによって採用や募集時期は異なりますが、まずは公務員試験に合格することが必要となります。
学生であるのであれば、栄養士の勉強と並行して公務員試験に向けた勉強が必要になりますし、現職中の方であれば仕事と並行して公務員試験の対策をしなければなりません。
どちらにしても二つの事を並行して行うので、早めの対策をすることが大事ですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?行政栄養士の活躍はこれからますます期待されそうです。
興味のある方はぜひ、就職先の一つとして考えてみて下さいね。
栄養士くらぶ編集部
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