目指せ!管理栄養士への試験

管理栄養士という職業を知っていますか?
赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い方へ食事を通して健康をサポートする仕事を担う人たちです。
近年、病気を治療するのと同じくらい、『病気を予防する事』に注目が集まっています。
病気にならない食習慣を提案し、指導するのが管理栄養士です。
今回は、管理栄養士を目指している方や、食に関する仕事を探している方へ、管理栄養士になるためには具体的にどうしたらよいのかをまとめてみました。ぜひ参考になさってください。

管理栄養士国家資格とは?


管理栄養士は国家資格です。
1年に1回行われる管理栄養士国家試験に合格することで管理栄養士の資格を取得できます。
管理栄養士国家試験は200問中6割正解すると合格となります。
試験は毎年3月頃行われ、約1か月後に合格発表が行われます。資格証明書の交付は5月ごろです。
合格率は毎年異なりますが、50~60%であることが多いようです。現在管理栄養士として登録されているのは、約22万人です。(平成29年12月現在)

厚生労働省HP参照

管理栄養士の受験資格要件はあるの?

管理栄養士の受験資格を得る2つの方法

すべての人が管理栄養士の国家試験を受けられるというわけではありません。
管理栄養士の受験資格を得るためには、

  1. 管理栄養士養成校の必要単位を取得し卒業する
  2. 栄養士養成校の必要単位を修めて卒業し、栄養士資格を取得した後、実務経験を積む

という2つの方法があります。

勉強は容易ではない?


試験の合格率をみてみると、管理栄養士養成校を卒業してすぐ、試験に臨んだ人は約9割の合格率である一方、栄養士として実務経験を積んだ人の合格率は1~2割と大きな差があることがわかりました。仕事と並行して勉強を積むことは容易ではないと考えられます。

実務経験はどのくらい必要なの?

卒業した栄養士養成校の年数による


栄養士養成校を卒業後、実務経験を積むことで受験資格を得ることができますが、具体的にどのくらいの実務経験が必要なのでしょうか。
受験資格取得に必要な実務経験は、卒業した栄養士養成校の年数によって決まってきます。

  • 栄養士養成校が2年間の場合:実務経験は3年間
  • 栄養士養成校が3年間の場合:実務経験は2年間
  • 栄養士養成校が4年間の場合:実務経験は1年間

以上が受験資格に必要な実務経験年数となります。ご自身の学校と照らし合わせてご確認ください。

管理栄養士ってどんな試験なの?

管理栄養士の国家試験はマークシート方式で行われます。試験は9科目+応用力試験があり、午前と午後2回に分けて行われます。
ではここで、各科目を詳しく見ていきましょう。

社会・環境と健康


この科目は

  1. 健康とは何か、そして人間の健康を規定する要因としての社会・環境に関する基礎的知識
  2. 人々の健康状態とその基底要因を測定・評価し、健康の維持・増進や疾病予防に役立てる基本的な考え方とその取り組みについての理解
  3. 保健、医療、福祉制度や関係法規の概要についての基礎的知識

以上の3点です。
暗記することが多く、また出題範囲も広い為、苦手とする人も多いようです。
繰り返し覚え、問題を解くことが大切になります。

管理栄養士国家試験 出題基準改定検討会 報告書 参照

人体の構造と機能及び疾病の成り立ち


この科目は

  1. 人体の構造や機能についての系統的な理解
  2. 主要疾患の成因、病態、診断および治療についての基礎的知識

以上の2点です。
暗記をすることも重要ですが、人間の体の構造を理解すると解ける問題が多い科目です。
近年、予備軍の減少が評価されている糖尿病も、この科目で基本的な病気のメカニズムを学習します。管理栄養士と深い関係のある病なので、しっかりと勉強する必要があります。

食べ物と健康


この科目は

  1. 食品の分類及び成分を理解し、人体や健康への影響に関する基本的知識
  2. 食品素材の成り立ちを理解し、食品の生産から加工、流通、貯蔵、調理を経て人に摂取されるまでの過程における安全性の確保、栄養や嗜好性の変化についての理解
  3. 食べ物の特性を踏まえた食事設計及び調理の役割の理解

以上の3点です。
管理栄養士の業務の中には、「栄養指導」が含まれます。この科目は、栄養指導の際に必要な知識として大きな役割があります。必ず押さえておきたい科目です。

基礎栄養学


この科目は

  1. 栄養の基本的概念及びその意義についての理解
  2. エネルギー、栄養素の代謝とその生理的意義についての基礎的な理解

以上の2点です。
栄養素の代謝も、栄養指導には欠かせない知識です。また、栄養に関する情報が多数存在し、情報を得やすくなった現代、正しい情報を選ぶことも大切になってきます。栄養素の代謝についての正しい知識は、誤っている栄養情報に流されないためにも必要になります。

応用栄養学


この科目は

  1. 栄養状態や心身機能に応じた栄養管理(栄養ケア・マネジメント)の基本的な考え方についての理解
  2. 食事摂取基準策定の考え方が科学的根拠についての理解
  3. 各ライフステージにおける栄養状態や心身機能の特徴に基づいた栄養管理についての基礎的な理解

以上の3点です。
栄養指導の対象者のライフステージ(年齢)に応じた適切な栄養管理の方法は、結果の出る栄養指導に必要な技術です。管理栄養士には『結果』を出すことが重要です。根拠のある指導で、結果を出せる管理栄養士を目指しましょう!

栄養教育論


この科目は

  1. 栄養教育の意義及び目的に応じた理論と技法についての理解
  2. 社会・生活環境や健康・栄養状態の特徴に基づいた栄養教育の展開についての基礎的な理解

以上の2点です。
この科目もまた、結果のだせる栄養指導に必要な知識です。同じ栄養指導でも、対象者の気持ちや理解度で結果が出せるか否かが決まります。

臨床栄養学


この科目は

  1. 傷病者や要支援者・要介護者の栄養管理(栄養ケア・マネジメント)について基礎的な理解
  2. 疾病の治療・増悪防止や栄養・食事支援を目的として、個別の疾患・病態や心身状態、心身機能の特徴に応じた適切な栄養管理(栄養ケア・マネジメント)の方法についての基礎的な理解

以上の2点です。
苦手とする受験生が多い科目です。病院勤務を希望している受験生はしっかりと押さえたい科目です。病気の治療にも食事療法が必要です。患者の栄養状態をよくすると、治療がより早く効果的に進みます。病院管理栄養士の重要性は年々理解されています。

公衆栄養学


この科目は

  1. 我が国や諸外国の健康・栄養問題に関する動向とそれらに対応した主要な栄養政策についての理解
  2. 集団や地域における人々の健康・栄養状態や社会・生活環境の特徴に基づいた公衆栄養活動についての基礎的な理解

以上の2点です。
集団を対象とした栄養指導をする際、必要な知識です。対象者が生活する地域・環境も、対象者の健康に大きな影響を与えます。対象者を取り巻く環境の整備も管理栄養士の大きな役目の一つです。

給食経営管理論


この科目は

  1. 給食の意義及び給食経営管理の概要についての理解
  2. 特定多数人に食事を提供する給食施設における利用者の身体の状況、栄養状態、生活習慣等の基づいた食事の提供に関わる栄養・食事管理についての基礎的な理解
  3. 給食の運営方法とそのマネジメントについての基礎的な理解
  4. 以上の3点です。
    管理栄養士の活躍の場として大部分を占めるのが、大量調理の現場ではないでしょうか?高齢者施設や病院、学校など様々な場所で使える知識が問われます。家庭での調理とは少し異なる考え方で、調理や衛生管理が必要になります。

    応用力試験


    この科目は

    1. 管理栄養士として栄養管理を実践するうえで必要とされる嗜好・判断力、基本的な課題に対応する能力
    2. より即戦力が求められる現場では、栄養指導の経験が無くても判断力が必要となります。その力を培うために、近年新たに作られた科目です。

      管理栄養士への試験~まとめ~

      いかがでしたか?
      管理栄養士を目指す方は必ず合格しなければならない国家試験についてまとめてみました。
      これからますます需要が高まると考えられる、管理栄養士。資格保有者一人一人の質を上げることで、日本全体の健康の底上げにつながると思います。
      必要とされる職種となるために、必要な知識を身に付け、社会貢献していきましょう!

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