病院で働きたい人必見!NSTとは一体なに?

病院で働きたい栄養士さんはたくさんいると思います。
栄養士で勤務する場合厨房業務がほとんどですが、管理栄養士として病院で勤務する場合必ず知っていてほしいことがあります。それがNSTという言葉です。
ここではNSTとは何か。管理栄養士が知っておかなければならないことをお伝えします。

NSTってなに?

皆様はNSTをご存知でしょうか?
NSTとは「Nutrition Support Team」栄養サポートチームの略称です。
医師、管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、リハビリテーションスタッフ、医療事務員など他職種がそれぞれの知識を持ち寄り、入院患者に最良な方法で栄養状態を良好に栄養面から支援する医療チームです。
栄養サポートとは基本的医療の一つである栄養管理を、症例と個々に応じて適切に実施する事を言います。
NSTはアメリカで普及していたものを2001年に日本静脈経腸栄養学会が日本で普及、啓発をはじめたものです。今ではたくさんの病院がNSTを導入し、管理栄養士が医療チームの一人として活躍できるようになりました。

NSTにおける各職種の役割

NSTでは各職種の役割があります。
ここでは具体的にどのような役割があるのかみていきましょう。

医師の役割

医師は各職種を総括し、各職種の知識や技術を患者に対してどのような方向で栄養療法を進めて行くか、栄養評価、最終的な決断、院内でのNST教育、啓発の役割があります。

看護師の役割

患者の状態を一番短で把握して居る職種です。患者の栄養状態のスクリーニングを行い、栄養障害があるかどうかの有無や程度を評価します。
対象患者の評価や経過観察、正確な情報をチームへアドバイスする事、患者に栄養状態の実状を把握してもらい協力を促すこと、医師への助言提言などが役割です。

薬剤師の役割

点滴による栄養、患者に使用している薬の管理や患者や家族への服薬指導、薬学的見地からの栄養状態の評価、処方内容を検討すること。
特に経腸栄養剤と薬剤との相互作用、輸液製剤などの内容を検討し助言、情報を共有する事が役割です。

管理栄養士の役割

患者の栄養評価を実施し、患者にあった食事内容や食事形態の評価、経腸栄養剤の種類の提言、経口、経管、輸液と体内に給与されている栄養を全て把握して計算を行い、他職種に情報を提供すること、食事摂取量や摂取状況を把握し環境整備や食事療法、食事形態の調整を行うことなどが役割です。管理栄養士は栄養の関する専門的な知識を持っているメンバーとしてNSTの中心として活動します。

臨床検査技師の役割

患者の栄養状態を把握するため、生化学検査、血液検査データを元にモニタリングを行いアドバイスし、検査内容を助言する役割があります。

リハビリテーションスタッフの役割

リハビリテーションスタッフは主に、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士とありますが、各専門的な立場からの助言、リハビリテーションの強度や消費運動量、嚥下状態、を助言する役割があります。

医療事務員の役割

診療報酬にかかる適切な請求や、栄養療法にかかるコスト計算などを助言する役割があります。
全ての職種に共通することはNSTについての知識や技術の習得という役割があります。

管理栄養士はコミュニケーションが必要?


NSTでの管理栄養士は患者の抽出(栄養アセスメント)、栄養管理計画書を作成、経腸、経口栄養療法の詳細なプラン、生活状況や退院後の環境を考慮した退院時の指導、チーム活動に関わることのアシストやアドバイスが業務です。
今ではNSTが普及し管理栄養士はコメディカルスタッフ(医師の元で従事する医療スタッフ)として認められつつありますが、管理栄養士の医療職としての知識が足りないのも現実的な話です。
わからないことがあれば臆せずに質問や、他職種との連携を取ることが重要になります。
食事に関するプランニングは管理栄養士が行うため、調整や連携を取るためにコミュニケーションが必須であり、チーム医療の一員として管理栄養士はしっかりと認識、行動する事が大切です。
これは管理栄養士が認められるチャンスです。

NSTで管理栄養士がとっておきたい資格


NSTで活躍したいと考えている管理栄養士の方にはぜひ取っておいておきたい認定資格があります。なぜ管理栄養士資格の他に、認定資格を取っておいてほしいかというと、管理栄養士は医療職ではないからです。
先に挙げた医療事務を除く職員は全て医療職になります。医療に関する知識量が必然的に他の職員より下がる為、その他の分野でカバーできる資格が必要になってくるというわけです。
実際、管理栄養士がNSTに入る場合、医療知識が少ないばかりに下に見られてしまうケースが多いそうです。
連携を図るうえで医療の知識も必要になりますが、専門分野に特化して活躍できるようにしておきたいところですね。
NSTで活躍する為に取っておきたい資格、それは「病態専門管理栄養士」と「NSTコーディネーター」の2つです。
受験資格や必要項目を添えてあるので確認してみて下さい。

病態専門管理栄養士とは

臨床におけるよりよい栄養管理を行うために、有能な専門的知識および技術を有する管理栄養士の資質向上を図り、国民の健康増進に貢献することを目的としています。
日本病態栄養学会は学会認定制度を設け、日本病態栄養学会認定病態栄養専門(認定)管理栄養士を認定しています。
病態専門管理栄養士となるには日本病態栄養学会に入会し、以下の条件が必要になります。

1.2年以上、日本病態栄養学会の会員であること。
2.管理栄養士の資格を有する者。
3.医療機関で3年以上の業務(栄養管理)経験を有すること。
※大学院前期(修士)課程修了者は1年以上の業務(栄養管理)経験を有すること。

4.以下の条件を満たすこと。
4-1.本学会に関連する活動として10単位以上を取得していること。
本学会出席で5単位。
※発表者5単位・連名者2単位、1回の学会出席にあたり10単位まで加点
本学会主催の教育セミナー出席で5単位
※同一年度では5単位のみ
栄養学に関する論文提出で5単位(査読者のいる学術誌の論文筆頭者

4-2.栄養管理に関する5症例のレポートを提出すること。
(1)消化器疾患、(2)循環器疾患、(3)糖尿病・代謝疾患、(4)腎疾患、(5)その他、呼吸器疾患などのうち2分野以上にわたる5症例。

4-3.本学会の主催する教育セミナーを受講修了していること。
最短でも3年以上は必要であり、試験に合格して認定されます。

出典:一般社団法人 日本病態栄養学会より

NSTコーディネーターとは

更なるキャリアアップとしてNSTコーディネーター認定資格があります。この資格は先に挙げた病態専門管理栄養士の資格取得が前提となっています。
NSTコーディネーターとは、NSTに関する高次なレベルの知識と技術を修得し、NSTをコーディネートすること、更にNSTで指導的な役割を果しうる医師と病態栄養専門師の育成を目的としています。

NSTコーディネーターの認定条件は病態専門管理栄養士の資格があることと、日本病態栄養学会が定める学会活動において10単位の取得が必要になります。
また、NSTチームの栄養評価を検討した3症例の提出と申請者の勤める施設長の推薦状が必要になります。
学会活動に単位取得については下に記載してありますので、チェックしてみて下さい。

1.日本病態栄養学会主催のNST講習会受講を1回で3単位。
2.日本病態栄養学会の年次学術集会参加を1回で3単位。
※発表者に3単位、共同発表者(連名)1単位。1回の学会参加につき最高10単位までを上限に加算
3.日本病態栄養学会の理事、学術評議員が主催するNST関連の講演会、研究会等に参加で1回1単位。
※年3回3単位までを上限に加算
4.NSTセミナーの受講で4単位。
5.日本病態栄養学会の会誌に掲載された論文で5単位。

NSTコーディネーターとなるためには、まず先ほどの病態専門管理栄養士をとる必要があり、学会発表や研修の受講などを経て申請し認定される資格です。
どちらもハードルは高いですが、NSTで活躍をする上でぜひ目指したい資格です。

出典:一般社団法人 日本病態栄養学会より

NSTにおける管理栄養士


NSTは患者に対してより良い栄養状態にするためのチームです。多職種の混成チームになり、その中で管理栄養士は中心になるメンバーです。
現状では中心といえど、NSTにおける管理栄養士はポジションがまだ低く見られがちでもあります。
連携をうまくするために、医療の勉強や資格の取得、キャリアアップに向けて様々な取り組みが必要になります。
しかし、管理栄養士の専門分野を発揮できる環境でもあり、今後の活躍に注目されています。
管理栄養士の資格を専門的に活かしたいと考えている方にはオススメの職場でもあるので、興味のある方は一考の価値がありますよ。

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栄養士くらぶ編集部

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